2016年3月30日水曜日

ナカタトシアキの気になる新製品

オートアート 1/18 日産フェアレディ Z432(オレンジ)
18歳で免許を取って以来、クーペやHTの車種ばかり乗り継いで来ましたが、今ではすっかり軽のワンボックスになじんでしまったオッサンの、小学校時代憧れのクルマの一台(他にも色々)が、このフェアレディZでした。長いボンネットに、二人乗りのコンパクトなキャビン、独特なライト周りの造型に加え、印象的な後ろ姿、未来的なインパネのデザイン等々、どれを取ってもお気に入りですS30Zの模型は、当時物のプラモやミニカーでは、タミヤの1/12を除けば中々これだという物が見当たらず、今回の製品は最新の物だけあって、実車を詳しくリサーチした事が伺われ、1/18の身長の目線で眺めますと、いい感じに仕上がっていると思います。ハコスカや510系ブルーバードにも見られたオレンジの車体色は、とても雰囲気が有り、オール可動のアクションでオーナー気分を満喫。そのドアやエンジンフードの動きはスムーズで、閉状態もビシッと決まり、スタイルの乱れもなく清潔感が有ります。ちょっと前に2年がかりで完結した、イー◎ル◎スの1/8 240Zを物にした方にも、納得の出来栄えの新製品。大好物のZであればこそ様々なグレード、縮尺で揃えてみたいものです。

広島企画(国際貿易)1/43 マキF101テストカー'74 ショウ ハヤミ(新井鐘哲)
知る人ぞ知る?!幻の国産F1、マキの最初期バージョンです。某誌の特集記事によれば、学生達の手で復元され、この姿で現存するのは意義深い事です。そしてこの度、写真でしか見た事の無かった謎のクルマを、40年後の今日、ミニカーで回顧するとは思いませんでした。パッと見アニメメカ風で、”マッハGoGoGo”や”グランプリの鷹”に出て来そうなスタイルに見えますが、全体としては、タイレル6輪'77の先取りの様にも感じられ、大きな風防とフルカウルにより、空気抵抗の低減を狙ったのでしょうか。ラジエターをサイドポンツーン前方に縦置きするのは、80年代中頃に流行ったレイアウトも、側面から風を当て上方に排出するシステムはユニーク。又巨大なインダクションポッド後端に尾灯を付け、安全性への配慮と、デザインのワンポイントになっている模様。というわけで、中々考えられた設計なのですが、やはりフルカウルによる重量増は問題で、実戦バージョンは大幅に当たり障りのないスタイルになってしまいました。誰でも買えるコスワースDFVエンジンと、1カーエントリーやスポット参戦も自由で、緩かった時代のF1だからこそ実現出来たプロジェクトで、結果は失敗だったとはいえ、自動車メーカーのバックアップもなく、夢を形にして走らせ、ヨーロッパの強豪に挑戦しようとした情熱は、尊いと思います。

2016年2月3日水曜日

ナカタトシアキの気になる新製品

スパーク 1/43 ブラバムBT42 モナコGP'73 W.フィッティパルディ
あのマクラーレンF1(3人乗りのスーパーカー)や、反則技のブラバムBT46Bなどを産み出した奇才、ゴードン マレーの駆け出しの頃の作品です。ノーズの2分割されたラジエターのレイアウト、三角断面モノコックなど、後の成功作BT44の基礎がほぼ出来ているものの、気になる点もちらほら。コクピット直後の両サイドに謎の四角い筒が付いていて、もしかしてだけど、リアウイング下のオイルクーラーに風を当てるためのダクトなのかも知れません。更にすごいのは、狭いモナコ攻略の秘密兵器?!ノーズ左右に立てられたオレンジ色のポールです。ドライバーのリクエストなのか、クルマを壊すとバーニーに怒られちゃうからなのかはともかく、超一流の運転手なのにそりゃねえだろうという感じです。(そういえば、クルマの黄と緑色の帯は、若葉マークの色にも見え)。そのドライバーは、ワールドチャンプ2回のエマーソンの兄ちゃん、ウィルソン フィッティパルディですが、後に自分の名の付いたF1を走らせるという経歴は、ジャック ブラバムとも重なります。ブラバムの”ブラ”はブラジルの”ブラ”では有りませんが、その後も悲運の名ドライバー、カルロス パーチェや、スーパースター、ネルソン ピケなどの起用で黄金時代を迎えるブラバムの最初のブラジルの人は、こんな感じでした。(後のF1ドライバーで息子のクリスチャンも、ヘルメットのデザインを受け継いでいましたね)

2015年の気に入ったミニカー
その1 AMIE 1/43 TDF PO-1 ポインター
その2 スパーク 1/43 ヘスケス 308E R.キーガン ベルギーGP'77
その3 スパーク 1/43 ウイリアムズ FW12 N.マンセル イギリスGP'88 2位 ホンダに逃げられ、決して名車とはいえないクルマですが(マクラーレン ホンダの連勝を止めたA級戦犯?!でもあり)、殆どのスポンサー残留で賑やかなカラーリングは、上場の出来映え。抑揚のあるデザインの低いサイドポンツーンもカッコ良く、マンセルのフィギュアとも併せ、単品でも見せ場たっぷり。ゴマみたいに小さなバークレイのエンプレム(昨年の時事ネタ)のデカールはセルフサービスで、外科手術よろしく、ピンセットと爪楊枝を駆使して貼っ付ければフィニッシュです。
 

2015年11月4日水曜日

ナカタトシアキの気になる新製品

AMIE 1/43 TDF PO-1ポインター
人気TV番組「ウルトラセブン('67~'68)」の劇中で活躍していた、地球防衛軍”ウルトラ警備”の専用車で、極東基地に何台も有るという設定のため、合成で車庫の中に数台並べてみたり、番号を貼り替えた2号車や、回転灯を付けたMP車なども登場していました。実際に人が乗って走れるクルマの小道具なので、使い勝手が良く、ロケ地での撮影にも多用されたため、ウルトラホーク他のスーパーメカに比べても登場シーンが目立ち、最も一般市民の目に触れる機会が多い、地球防衛軍の”顔”としての役割を見事に演じていました。そのベース車両は、アメ車のため結構大柄で、当時の日本車と並ぶと中々の風格。

又パワーウインドやボタン式変速機などの進んだ装備が目に付くものの、クルマ自体は、かなりのポンコツで、5万円で買って来たのを板金屋さんに改造してもらったら、改造費の方が高かったという、とんでもエピソードも残っています。
その方法は、屋根やドア周り以外のボディを取っ払って、全て造り替えるというもので、現在ならFRPなどを使うところですが、殆どの部分を鉄板で作っていて特にライト周辺の入り組んだ造型など、真に職人芸という感じです。製品は、かつて実在した架空のクルマを忠実再現。
ポインターの商品は、過去にいくつも発売されていますが、割とボディラインが固めで、自動車としてよりも、スーパーメカのキャラクターの方を立体化していた物が多かった印象があります。
今回のポインターは、劇用車のスケールモデルとして、ベース車のボディの残っている箇所の微妙な曲線と、改造された部分の直線的なラインとのメリハリが、実にうまく表現されています。ところで垂直尾翼は、最近のレースカーにも付いているのを見ると、ちょっと先取りだったのかな?!とも思えます。
「ウルトラセブン」は、当時の子供番組としては、造り物が盛り沢山でスーパーメカや宇宙艦、基地のセットや隊員の衣装、様々な宇宙人、ロボットなどのキャラクターデザイン等で、目で見るSFとしてトータルコーディネートされ、特殊美術というものを初めて意識させられた番組でした。
又ベトナム戦争、東西冷戦、アポロ月着陸前夜などという時代性を反映したストーリーの数々、そして多彩な音楽など、様々な切り口から楽しめ、今また新製品が発売と、50歳を過ぎても付き合いが続いているとは、困ったものです。



2015年7月15日水曜日

ナカタトシアキの気になる新製品

スパーク 1/43 アロウズ FA1 No35 スウエーデンGP '78
かつてホンダF1試作1号機は金色で、本田宗一郎もゴールドF1の出走を望んでいましたが、諸々の事情で叶わず”黄金の国ジパング”カラーは封印。それはさておき、その10数年後に登場した真ッ金々のクルマは、新チームの船出と共に、良くも悪くも数々の話題を提供しました。この年がフル出場初年度となる若武者R.パトレーゼは、変なブラバムが注目を集めたスウェーデンGPの2位を含む数度の入賞で、11ポイントを獲得と、まずまずの成績を収めたものの、ケンカ別れしたシャドウチームからデザイン盗用だと訴えられ、シーズン後半はアロウズFA1使用差し止めの裁決というとんでもない展開に(改良型A1の開発で対応)。当時でも少数派のフロントラジエターのクルマは、個性的な外観を持ち、2段ウイング形状のサイドポンツーンは、ロータスとまた違ったユニークな試み。問題のショドウDN9と並べてみると、確かに同じ図面を使ったとしか思えないほどクリソツで、正に一卵性双生児。全身金色のカラーリングは黒のピンストライプが配され、JPSカラーを反転した様で中々のセンス。波乱の1年目を過ごした翌年のアロウズは「やっちゃった」感のあるマグマ大使みたいな新型A2の失敗で足踏み。そしてパトレーゼの離脱後は、段々地味なチームになって行き、未勝利のまま長い歴史に幕を閉じるのですが、夢と野望が満ちあふれてた、この金色のクルマの頃が個人的には一番印象が残っています。

トミカ 1/76 ヤンマートラクターYT5113
コンバインが絶版になったのを受け、入れ替わりに登場したトラクターは、縮尺をみると結構大型のようで、2tトラックと同じくらいかと思いチェックしたら、トミカの2t車は皆ノンスケールのため、厳密な検証は出来ませんでした。製品は小さいながら、風格のあるスタイルを再現。キャビン付きの快適仕様で、エアコンやCDプレイヤーなども今や当たり前との事。顔付きも乗用車並みのツリ目ライトでシャープな感じ。尚コンバインには山ほどステッカーが付いていたの今回は何もなくて少し寂しいです。地方在住の身なので、通勤時等裏通りを自走している農機具にしばしば出くわします。そのうちこの実車にお目にかかれるかも知れません。

2015年6月3日水曜日

ナカタトシアキの気になる新製品

スパーク 1/43 ポルシェ935/78 「モビィディック」 No43 LM'78 8位

最近イルカが何かと話題の折、こちらはクジラネタです。真に白鯨という、ポールリカールテスト仕様の発売が数年前。ようやく大本命のルマン用が登場しました。935の最終進化形態は、911派生車とは名ばかりの過激さで、スピード感溢れるカラーリングも似合っています。思えば、後の’96~'98LMの911GTIも同じ様な進化を遂げ、ついには優勝してしまいましたね。935/78が78年ルマンに於いて、全参加車中2位の最高速度358km/h(なんと936よりも速かった)をミュルサンヌ手前で叩き出すなど、総合優勝も狙える程のパフォーマンスを見せ付けました。スーパーカーブーム当時は、各社から多数のプラモが発売になり、今でも残ったのはタミヤ1/24くらいですが、やはり一番出来が良く「タミヤの製品は正確で間違いが無い」と、信頼の2つ星ブランドにすっかり洗脳されていた思春期でした。その三十数年前のプラモと、最新の製品を比較するのも酷ですが、プラモで忘れられた左リア上面のNACAダクトや、耐久レースならではの左右ドアで位置の違うカーNo用ライト、そしてインパネ左上の識別灯なども再現され、チラリと見える室内の造り込みと、ドアウィンドの戸を開状態にする粋な演出も芸コマです。又リアウイングの下にマウントと、ロングテールの補強を兼ねたサブフレームをパーツ化しているのも偉いです。余りにも速く強かったのに、わずか数戦でお蔵入りになってしまった怪物マシン935/78、ブームの頃とは違った気分で見つめ直し、再会する事が出来ました。実は20年以上前、水戸芸術館に実写(他に917K等)の展示された際、2度に渡って観に行った事があり、同じクルマの周囲を小一時間もウロウロしていて、怪しまれたのもいい思い出です。

2015年5月4日月曜日

ナカタトシアキの気になる新製品

スパーク 1/43 フットワークFA12 No10 カナダGP'91
思えばこのシーズンの話題の豊富なこと。ついにマクラーレンはホンダV12、ティレルにホンダV10の供給。大型新人M.シューマッハのデビュー、復活のヤマハはV12をブラバムに供給。新チームジョーダンに加えランボルギーニ(モデナランボ)のF1参戦。日本人ドライバーは、中嶋 悟、鈴木亜久里の2名で、更にスポット参戦の服部尚貴(予選落ち:コローニ)等々、バブル絶頂期もありジャパンマネーがF1界に大量に流入しました。そんな中、日本の運送会社に買収された形の
アロウズは、チーム名もフットワークに変更。ポルシェV12エンジンの独占供給を受けることが決定し、専用の新車も開発され、開幕前には他チームに負けないくらい注目を集めました。そして出来上がったクルマは、結構個性的なスタイルを持ち、ノーズ先端の一本柱に吊り下げられたウィングやメッサーシュミットBf109のエアインテークみたいな真ん丸のインダクションポッドが目を引き、V12なのにリアカウル周辺もスッキリまとめられ後端の絞り込みキツさなど中々でした。ところが、走らせてみたら全然駄目で、肝心のエンジンは重量過多に加えパワー、信頼性共に不足のシロモノ。かつてマクラーレンと組んだ時の栄光は見る影もなく、チームは第6戦限りでポルシェを諦め、コスワースDFRへと先祖帰りの有様。以後も予選落ちやリタイアを繰り返し、無得点のシーズンを終えました。流浪のF1ドライバー、ステファン ヨハンソンはシーズン当初AGSからの参戦でしたが、負傷したA.カッフィの代役でカナダGPから4戦の間フットワークをドライブ。しかし予選通過はこのカナダGPのみ(リタイア)で、ポルシェエンジン一応決勝出走の貴重な?記録を残しました。スピリットホンダでF1デビューの後、日本のF2などでも活躍して馴染み深く、フェラーリやマクラーレンにも在籍(最高位2位)したヨハンソンは、束の間フェラーリ時代のチームメイトM.アルボレートと運命?の再会を果たし、走らないクルマで苦労を共にしました。もしフェラーリかマクラーレンで1勝でも挙げておけば。その後のF1人生も変わっていたのか?!否、何に乗っても速い才能は又器用貧乏でもあり、強烈な個性渦巻くF1サーカスでは花開く事なく埋もれて行ったのですね。いとあわれ。


2015年4月8日水曜日

ナカタトシアキの気になる新製品

ホワイトボックス 1/43 ランボルギーニ ブラーボ '74

スーパーカーブームも末期になると、色々なところからネタを探し始、終いにはトライアンフTR7やフィアットX1/9もスーパーカーの仲間にしてしまう様な強引さでした。でも、やはり横綱はカウンタックという中で登場した謎のスーパーカーは、同じランボルギーニを名乗りながらも、コンセプトカーの宿命か当然主役とは成り得ず、忘れ去られて行きました。製品は、その幻のクルマを自由な角度から出来、ブームを語る上で欠かせない”ベルトーネ道のエッセンスあふれる一台。全体としては、実用のために断念したカウンタックプロトタイプのシンプルなフォルムの追求、それにプラスしてストラトスのDNAも感じられ、俯瞰するとフロント&リアフードに刻まれた44個ものコの字型アウトレットは、あのアリタリアのデカール貼り時にイラッとした、フロントカウルのスリットを巨大化させた様にも思え、実車写真では窓が濃いスモークのため内装が見えにくく、バックミラーやワイパーが無いことも手伝って、カウンタック以上に謎の円盤UFO完が半端ないです。その一方で、サイドビューやテールエンドは、あっさり目にしてメリハリを付け、ホイールはあのLP500Sに採用されたリボルバータイプのデザイン等々、手に取ってみて独特なスタイルを再認識させられます。






スパーク 1/43 ヘスケス308E No24 ベルギーGP '77
WWIIの戦闘機や爆撃機には、機首に女性のイラストを描いた物が見受けられました。いわゆる”ノーズアート”ですが、それのF1バージョンです。タイレルみたいな青色ベースにコクピット周辺のお姉ちゃんイラスト3人分は中々のインパクト。もちろん成績は、お姉ちゃんの分重量増で今一今二。当時のレース漫画「赤いペガサス」では、モナコGPで海にダイブという、いじられキャラにもなっていました。(映画”グランプリ”が元ネタ?!)。最大の関心事であるお姉ちゃんイラストは、小さいながらテナリブ(フランスのキットメーカー)のキットのデカールよりも格段に上々出来映え。ドライバーは、レーサーの中でも凄い大酒呑み(津川哲夫談)というルパート・キーガンで、青いクルマに対し赤いスーツにオレンジおヘルメットが、地味になり過ぎずいい感じです。勝負とは勝ち負けと書き、勝ったクルマの影で数多くの負けたクルマが有り(もちろん自分も負け組の一人)、歴史の中に埋もれて行きますが、たとえ未勝利でも忘れられない名脇役は、人それぞれの心の中に残っていることでしょう。そういえば同時発売シャドウDN9のカラーリングは、結構”赤いペガサス”してました。