スパーク 1/43 ザクスピード891 No34 モナコGP'89 予選
1989年といえば、幻の昭和64年と平成元年のスタートの年でした。今では平成生まれの後輩にあおられている今日このごろですが、個人的には平成になっても尚、昭和と西暦で過ごしています。
一方F1での当時の話題は、1.5lターボから3.5lNAへのレギュレーション変更、そしてフェラーリV12の復活。又日本人としては、期待の若手、鈴木亜久里のF1フルエントリーといったところでしょうか。折しもバブル景気真っ盛りの頃でもありました。前述のフェラーリと並びシャシー、エンジン共一応自社製だったザクスピード(速そうな名前)はこの年からヤマハエンジンの独占供給を受け、ヤマハ専用の新車を開発しました。ドライバーには亜久里選手を迎え、開発前は結構盛り上がったものの、いざフタを開けてみると、2台出走で延べ32回中、決勝進出たった2回(いずれもB.シュナイダー)という惨々な結果に終始します。今では考えられない亊ですが、当時はエントリー過多で下位チームには予選に出るための予備予選が有りました。
製品は予選バージョンなので、予備予選は突破した様ですが、実に渋いチョイスです。ボディの赤白はバランスが良く、黒いウイングもそれを引き締め、インダクションポッド開口部は上が横長でT字形になっている少数派の珍しいタイプなのも目を引きます。同じV8勢のロータスと比較しても、コンパクトですっきりしたクルマなのに成績が伴わず残念です。
かつてタメオのメタルキットで851から881まで毎年発売されていましたから、この度の891の登場で、主要なマシンがひととおり1/43でそろい、約5シーズンで消滅したF1チームのヒストリーを振り返ることが出来る様になったのはマイナー好きには何ともいえません。この89年を棒に振った鈴木亜久里は翌90年に地元鈴鹿で3位入賞を飾り、一方のザクスピードは、開幕前のテストに白いボディのクルマを走らせたものの、それがF1でのラストランとなりました。