人気TV番組「ウルトラセブン('67~'68)」の劇中で活躍していた、地球防衛軍”ウルトラ警備”の専用車で、極東基地に何台も有るという設定のため、合成で車庫の中に数台並べてみたり、番号を貼り替えた2号車や、回転灯を付けたMP車なども登場していました。実際に人が乗って走れるクルマの小道具なので、使い勝手が良く、ロケ地での撮影にも多用されたため、ウルトラホーク他のスーパーメカに比べても登場シーンが目立ち、最も一般市民の目に触れる機会が多い、地球防衛軍の”顔”としての役割を見事に演じていました。そのベース車両は、アメ車のため結構大柄で、当時の日本車と並ぶと中々の風格。
又パワーウインドやボタン式変速機などの進んだ装備が目に付くものの、クルマ自体は、かなりのポンコツで、5万円で買って来たのを板金屋さんに改造してもらったら、改造費の方が高かったという、とんでもエピソードも残っています。
その方法は、屋根やドア周り以外のボディを取っ払って、全て造り替えるというもので、現在ならFRPなどを使うところですが、殆どの部分を鉄板で作っていて特にライト周辺の入り組んだ造型など、真に職人芸という感じです。製品は、かつて実在した架空のクルマを忠実再現。
ポインターの商品は、過去にいくつも発売されていますが、割とボディラインが固めで、自動車としてよりも、スーパーメカのキャラクターの方を立体化していた物が多かった印象があります。
今回のポインターは、劇用車のスケールモデルとして、ベース車のボディの残っている箇所の微妙な曲線と、改造された部分の直線的なラインとのメリハリが、実にうまく表現されています。ところで垂直尾翼は、最近のレースカーにも付いているのを見ると、ちょっと先取りだったのかな?!とも思えます。
「ウルトラセブン」は、当時の子供番組としては、造り物が盛り沢山でスーパーメカや宇宙艦、基地のセットや隊員の衣装、様々な宇宙人、ロボットなどのキャラクターデザイン等で、目で見るSFとしてトータルコーディネートされ、特殊美術というものを初めて意識させられた番組でした。